『タカギ』ユーザーのみなさまから寄せられた“「食育」に関するお悩み”を解決する連載。お答えいただくのは、現役の小児科医であり4児の母としてYouTubeで情報を発信する「女医の日常」さんです。
今回取り上げるのは、お子さんの「体づくり」にまつわるお悩み。「好き嫌いが多いからか、なかなか体重が増えない」「運動部の子どもが体を大きくするには?」といった増やしたい場合もあれば、肥満気味のためセーブしたいという声も。一生のベースとなる子ども時代、体重の増減とどう向き合うかは重要です。
就学前のお子さんを、とくに多く診察しているという「女医の日常」さん。医師としての視点に母としての気持ちや経験も交え、教えていただきました。
子どもの「体づくり」との向き合い方
「成長曲線」は、あくまでも基準。大きく外れないよう、1日3食バランスよく
女医の日常さん(以下、女医の日常) 「成長曲線」は、あくまでも日本人の平均値で目安です。身長や体重が多少はずれていても悩みすぎないでくださいね。その子、その子のペースで増えていて、毎日元気で、うんちもおしっこも出ているなら大丈夫。ただ、急に横ばいになった場合や急に減ったり増えたりした場合は注意が必要です。ホルモンなどに問題がある場合もあるので、小児科を受診しましょう。また、身長や体重に関して園や学校からお手紙が出たときは、大丈夫だろうとそのままにせず、必ず小児科を受診しましょう。
とくに肥満に関しては「大丈夫だろう」と放置されがち。1-6歳の間にBMIが高いと、成人になっても過体重や肥満であることが多く、糖尿病や心臓病など慢性疾患のリスクが高まるとも言われています。お子さんの過度な体重増加には注意してあげてほしいなと思います。
とはいえ、お子さんが食べないダイエットをしてはだめ。控えるのは、揚げものや甘いもの、夜遅くの食事です。朝ごはんを食べないお子さんは肥満傾向にあるので、まずは朝ごはんを食べる習慣をつけましょう。朝ごはんは、代謝を上げたり排便を促したりするのに大事です。また、主食・主菜・副菜のバランスに気をつけて、1日3食食べる。たんぱく質もしっかり摂ります。あとは、水分を摂ることも大事です。空腹時は勢いよく食べすぎてしまうので、食事の前にお茶やお水をコップ1杯。お腹も気持ちも落ち着いてから「いただきます」をしましょう。それから、肥満がかなり気になるのなら、主食に玄米や雑穀を取り入れるのもおすすめ。白米、白砂糖、小麦粉といった“白いもの”を気を付けることで、血糖値の上昇をゆるやかにしてくれますよ。
Question 1
2歳は個人差が大きい頃です。また、身長は親御さんからの遺伝もあるので、「こうすれば絶対に伸びる」という方法はありません。ただ、どんなお子さんも成長に欠かせないのが、食事・睡眠・運動の3つ。しっかり食べて、よく寝て、遊びましょう。
中でも栄養素でいえば、たんぱく質・カルシウム・ビタミンD・亜鉛を積極的に摂るのがおすすめです。たとえば給食を食べていると想定して、こうした献立もおすすめです。
<朝>
納豆卵ごはんもしくはごはんに肉そぼろと卵をのせたもの、ヨーグルト、バナナ
<間食>
小魚ナッツ
<夜>
ごはん、豚しゃぶ、野菜たっぷりのお味噌汁
中でも骨の成長に欠かせない栄養素といえば「カルシウム」です。カルシウムを多く含む、牛乳やチーズ、ヨーグルトなどの乳製品を1日1回取り入れると良いでしょう(スポーツをしているなどで体をつくりたい中高生なら1日2回程度)。ただし牛乳の飲みすぎは、便秘やマグネシウム不足の原因になりうるので1日1杯程度で。良く噛める子であればおやつを小魚にするのもおすすめです。野菜なら、小松菜もカルシウム豊富です。長時間ゆでると栄養素が逃げてしまうので、さっとゆがいてナムルにしたり、生のまま食べてもえぐみがなくておいしいですよ。
ちなみにカルシウムは、ビタミンDを一緒に摂らないと吸収されません。ビタミンDを含む卵・鮭・青魚などと組み合わせてみたり、ビタミンDを生成する日光浴もおすすめ。日光浴をするときは、夏場なら5〜10分、秋冬は30〜40分が目安。小さなお子さんは、朝夕の弱い日光を選んであげてくださいね。
骨は刺激がないと作られないので、外遊びをして体を動かすことも大事です。ジャンプしたり全身を使ったりする遊びを、無理なく楽しく続けてみてください。また、睡眠中は成長ホルモンが出るので、眠ることも重要。ゴールデンタイムは22〜2時といわれています。習い事や部活などで遅くまで起きているお子さんもいますが、できれば7時間は睡眠時間を確保してください。生活習慣を整えることは、親御さんがしてあげられることの一つです。
Question 2
まず、見落としがちなのが睡眠。成長ホルモンは寝始めの最初の3時間にたくさん出るので、まずは深い睡眠が得られることが大切。寝る90分前に入浴する、寝る前のスマホやゲームは控える、寝る前の激しい運動は避けるなど、睡眠環境を整えると良いでしょう。
また、良い睡眠に加えて食事でのサポートで意識したい栄養素といえば、筋肉や骨には「たんぱく質・カルシウム・マグネシウム」。成長ホルモンには「亜鉛」がいいとされています。毎食のメニューに、お肉・お魚・卵・お豆を入れたり、朝晩に牛乳やヨーグルト、チーズなどの乳製品を摂ったり。もう実践されているようですが、炭水化物を摂る場合はたんぱく質もセットにしてあげてください。
また、エネルギーが枯渇しないように、食事は間食も上手に取り入れて小分けに摂ります。間食にするなら、おにぎり・ゆで卵・バナナ。おにぎりは具を鮭にするとか、バナナのお供に牛乳を飲むとか、たんぱく質も意識します。
筋肉はしっかりついているようですが、運動後は30分以内にたんぱく質を摂るとよいので、補食にゆで卵を用意しておくのもおすすめ。あとは、寝る前に牛乳やプロテインを飲むと睡眠中の筋肉の修復を助けるそうです。お子さん用のプロテインもあるので、チェックしてみてください。
反対に避けたいのは、甘いジュースやお菓子。お砂糖の摂りすぎは、カルシウムの吸収を妨げて、尿から排出させてしまいます。身長を伸ばしたいのなら、頻繁に摂るのはやめたほうがよいでしょう。
大人と一緒で、サプリメントはあくまでもサポートと考えてください。毎日3食バランスよく食べられていれば、とくに必要ありません。ただ、プラスαで積極的に摂りたい栄養素があるとか、偏食でどうしても不足しているなどといったお子さんは、取り入れてもいいと思います。その場合は、かかりつけの小児科医に相談したり、キッズ用サプリを選んだりするのが安心です。
Question 3
そもそも食べる量が多くなっているはずなので、引退したからと、いきなり極端に量を減らすことは難しいでしょう。空腹感で、次の食事や間食などをかえって食べすぎる可能性もあります。まずは、全体の食事量よりも中身を見直し、質を整えてあげてることをおすすめします。
たとえば、主食のごはんは山盛りではなく、だんだん減らす。白米ではなく、食べごたえがあり、血糖値の上昇が緩やかな雑穀米や玄米にするのもいいですね。
また、運動部時代に培った筋肉量を維持するためにも、たんぱく質はしっかり摂ります。主菜には、お肉やお魚、卵などを入れて、野菜やきのこ、海藻で量増し。調理方法を、揚げるのではなく、蒸したりグリルしたりするのも摂取カロリーを抑えるのに有効です。
そして、甘いジュースやお菓子はなるべく控える努力を。食べるなら週末だけにするなど、親子で協力して生活習慣を見直します。
これらで大切なことは、何を出すかは親が決めて、何をどれだけ食べるかはお子さん自身で決めること。中高生など大きなお子さんに限らず、小さな頃からそうしてあげてください。食べるものを自分で選ぶ力を養うことも「食育」です。
ちなみに肥満のお子さんに関しては、そもそも食べる量を把握する必要があります。大皿から好きなだけ取って食べるのではわかりづらいので、ある程度は個別に盛り、プラスどれくらい食べるのかをチェックしてあげてください。盛り付けは、小皿にちょこちょこは大変なので、ワンプレートでOKです。
成長とともに対応は変わってゆきますが、お子さんが大きくなっても、できる限り見てあげてほしいです。思春期は思春期で、無理なダイエットや、受験などのストレスで食べすぎてしまうなど、見守るべきシチュエーションがあります。食事の内容はもちろん、たとえばお皿に盛って出すおかずも、お子さんが食べ切れる量で、バランスよく盛り付けてあげる。食生活を整えることは、親からお子さんにしてあげられる大切なことの一つだと思います。
一人ひとりちがうからこそ、これをすれば絶対に正解!がない、お子さんの「体づくり」。医師として、たくさんのお子さんを見てきた「女医の日常」のアドバイスをもとに、お子さんに合わせた食事の工夫にトライしてみてくださいね。
教えてくれた人
女医の日常さん
小児科クリニックに勤務する小児科医でありながら、小学2年生の長男、5歳の次男、2歳の双子と4児の母。登録者数約14万人のYouTubeチャンネル『女医の日常』で、ルーティン、料理、購入品など、日常や子育てに役立つ情報を発信している。初となる著書『毎日パパっと、からだよろこぶ 女医の日常ごはん』(ワン・パブリッシング)を2025年10月に発売。
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