蛇口一体型浄水器「みず工房」をご利用の定期交換メンバーさま限定webサイト。水とくらしをテーマに、生活に役立つさまざまなコンテンツをご紹介します。

c.c.cafe web

HOME > 特集 > 【Vol.74】特集1 住民、行政の連携で水のある生活を楽しむ ようこそ「水の郷」へ

特集

【Vol.74】特集1
住民、行政の連携で水のある生活を楽しむ ようこそ「水の郷」へ

「水の郷」、東京都日野市では、景勝地や観光地としてではなく、歴史や暮らしに根差した「水の郷」として町の活性化を進めています。そんなユニークな町の活動を紹介します。

取材・文/上坂美穂 撮影/福井麻衣子 イラスト/添田あき

日野市を流れる浅川での「川遊び」のイベントの日。子どもたちはレジャーボートに歓声を上げ、水に飛び込んで大喜びです。

行政、市民、学校三位一体の活動

「飛び込むよー!」
ドボン。
きらきらとまぶしく光る夏の川面に歓声が響きます。2017年の8月。夏休み真っ盛りのこの日、東京都日野市の浅川では、小学生の子どもたちを中心に、水に親しむ「水辺の」の川遊びイベントが開かれていました。子どもたちに加え、保護者や学校の副校長を始めとした先生方、そして市民グループ「浅川潤徳水辺の楽校」が参加。川の中に立てた脚立からの飛び込み、魚取り、レジャーボート、水鉄砲など、思い思いに水に親しみます。
日野市「水辺の楽校」の発足は2005年。国土交通省の提案から市、市民団体、学校の三者が協力して、一年を通し20以上の催しを行っています。
「川遊びができる環境というのはいいですよね。大人も子どもも、一緒に遊びながら川に親しみ、自分たちの住む町を大切にしていく気持ちが芽生えます」と語るのは日野市市役所の森田将司さん。水の中に入って脚立を支えたり、ボートをひっぱったりと大忙しです。

行政の立場から支援する日野市・緑と清流課の
森田将司さん。

「水の郷」日野のあゆみ
日野市は、都心から35キロメートル、東京駅から中央線を利用すると45分の場所にある。古くから周囲の農村では「嫁に行くなら日野に行け」といわれていたという肥沃な土地は、まさに水の恵みによるもの。多摩川と浅川という川に挟まれたこの地で、稲作のための堀の掘削が始まったのは450年ほど前。最盛期に網目状にはりめぐらされていた用水路は、今も市内にその姿が残されている。また、日野市は湧き水も豊富。多摩川と浅川に挟まれた高台は、高さの異なる2段の段丘からできており、高いほうは日野台地、低いほうは吹上台地と呼ばれている。これらの台地の関東ローム層(赤土)の下を流れる地下水が、湧き水となって段丘崖から表出しており、かつては丘陵だけでなく平地でも見られた。市内の黒川清流公園の水路は、地下水が段丘崖の下部から豊かに湧き出し、流れを作っている。

日野市を流れる浅川。日野市出身の有名人、土方歳三は幕末の新撰組隊士。
銅像が高幡不動の境内に建っている。

自然の環境を取り戻した親水路

森田さんが所属する課は「緑と清流課」という珍しい名称の課です。一般的には土木課といわれる課ですが、水辺の保全にとどまらず、用水路の再生や水車の復活、そしてこの「水辺の楽校」にも力を入れています。
そんな水の郷ではありますが、1970年代は急激な都市化のため、川の水も汚れていました。
「かつての同級生に、川遊びをするというと、えっ?と驚かれますが、今ではアユのつかみ取りイベントができるぐらいきれいなんです」と笑うのは、地元出身で森田さんと同じ緑と清流課の高木秀樹さんです。漁協のデータによれば、アユの遡上数も年々増えているとのこと。下水処理場の働きや、環境の保全の努力が、水質検査を行うと数値に表れているといいます。
この緑と清流課が関わった活動の中でも素晴らしいものの一つが、浅川にほど近い潤徳小学校のプロジェクトです。学校の脇を流れるコンクリートの護岸で固められていた幅2メートルほどの農業用水路を、そのコンクリートをはがして再生させたのです。生態系を大事にした自然のままの親水路として再整備したおかげで、トンボやカワセミが戻ってきました。親水路で網を持って魚を捕る子どもたちの姿も見られるそうです。

「水辺の楽校プロジェクト」とは
「水辺の楽校プロジェクト」とは
「水辺の楽校プロジェクト」は1996年から国土交通省が推進している自然体験事業で、この「浅川潤徳水辺の楽校」は2006年に発足しました。「学校の授業だけではできないこと」「大人が一緒に準備して、子どもと一緒に楽しむ」よさがあります。自然環境への親しみは幼い頃の体験が大きいもの。親水路ではカワセミが頻繁に目撃されますが、そんな豊かな環境は心の豊かさにもつながります。また、毎年6月、市民により定点観測される全国規模で行われる河川の水質一斉検査を続ける上でもこの活動が役に立っています。(談)

東京農工大学名誉教授の小倉紀雄さん。
15年にわたり日野市の親水活動を担ってきた一人。

緑と清流課の担当も、代々その熱い思いとスピリッツを受け継ぎます。
初代担当の笹木さん(写真左)と森田さん。
浅川のすぐ近くに位置する潤徳小学校の子どもたちを中心に、川遊びの準備中。副校長や先生たちも参加。

潤徳小学校の脇を流れる「向島用水親水路」。その一角にあるトンボ池と名付けられた水際では、コンクリートの水底をはがして、自然のままの景観を取り戻した。さらにコンクリートの護岸から、石を積んだ石垣に。職人を京都から呼び寄せて作業してもらった。危険を感じるものには子どもを近づかせない傾向のある現代において、逆のベクトルを働かせることができたのは、市民の水環境への理解と協力があってのこと。橋の欄干を腰かけられる高さにあえて設定して水を眺めたりすることで、生活の中に水に親しむ機会を作る。

1. コンクリートの川底や護岸をなくし、自然な川の状態に戻している親水路。
2. 散策中に腰かけられる高さの橋の欄干。川を見ながら会話する。
3. 向島用水親水路の看板。
4. 石垣状の護岸は、自然と調和する。

水を身近に感じる子どもたちを育てて

「これはオイカワかな?」
網の中を子どもたちがのぞき込みます。川面に浮かぶアメンボを見ながら、サンダルを脱いで濡れた足を乾いた石の上に投げ出していると、自分も子どもに戻ったような気がします。
「水辺の楽校」を一緒に楽しみながら、この緑と清流課の活動について将来のビジョンを聞いてみました。
「親水活動と一口にいっても、用水路などは時代の流れで農家が減り、維持や管理にも課題があるのは事実です。行政の仕事には限界もあります。とはいえ、大切なのは、今できることをすること。子どもたちによい思い出が残り、その経験を通して水のある生活を大切にしてくれることが願いですね」(高木さん)。
「子どものころ、川での清掃活動に参加し、ボートに乗ったことがあったのですが、その経験もあって大学で環境経済学を専攻しました。そして今、自分がこの緑と清流課で働いています。不思議な縁を感じます」(森田さん)。
実際、初期のイベントに参加した子どもたちが大人になり、2世代にわたって参加する例もありました。世代を少しずつ交代しながら、そんなサステイナブル(持続可能)な社会を築いていけることが一番よいはず。大人たちの地道な活動と努力で、地域社会はつながっていくのでしょう。
子どもたちが、ふるさとの川を思い出すとき、この夏の日の風景がきらめいていることは間違いありません。

生き物の姿は川のきれいさのバロメーター。網を持った子どもたちは川の中に入って魚を追いかける。この日はヨシノボリ、オイカワなどが捕れた。夏のイベントとしてはほかにも、江戸時代には「江戸前アユ」として将軍に献上されていたというアユをつかみ取りするイベントも。水辺の町おこしの一環として行われる行事で、夏休みの浅川は人々でにぎわう。
浅川の水量は年々減少傾向にある。一方、毎年6月の市民による定点観測の水質検査では、川の流れは清明さを取り戻している。
どんな人でも水辺を楽しんでほしいという願いから、車いすの人でもそばまで川に行けるスロープを設けた。国への申請から10年以上かけて実現した緑と清流課の仕事の一つ。
イベント・セミナーレポーター募集中

水にまつわる活動やイベントに一緒に参加し、レポートしていただける方を募集しています!下記のwebマイページのプレゼント応募フォームにてご応募いただけます。

ご応募はこちら

一覧へ戻る

HOME > 特集 > 【Vol.74】特集1 住民、行政の連携で水のある生活を楽しむ ようこそ「水の郷」へ